アリスのお茶会
更新状況と雑記。そして優雅とは言えない日常の数々。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
クロアリ/グレイ夢 「眠れぬ夜の寝物語」の後日談です。
続きからご覧下さいませ。
続きからご覧下さいませ。
「寝込みを襲うなど、最低男のする事だぞ」
背後から聞こえた声に嘆息すると、グレイは少女の光色の髪から手をひいた。
「人聞きの悪いことを言わないで下さい」
眉を寄せて振り返れば、案の定そこに立っていたのはクローバーの塔の領主。
久方振りにまみえた上司は相変わらずの顔色の悪さだが、機嫌だけは良いようだった。
彼の妹は心細い思いをしていたのに、いい気なものだ。
「それにしても意外だったな」
「なにがですか?」
不満で返すグレイの心中を無視してニヤニヤと笑うナイトメアに、さらに不満が高まる。
「この娘の事だよ」
ナイトメアはソファで眠る少女の金の髪をさらりと撫で、その額に軽いキスを落とす。拒まれない自信があるからできる行動だ。
「うらやましいだろう」
「・・・そんな事より何が意外なんですか?」
「まさかお前のところへ行くとは思わなかった」
「どういう意味ですか?」
確かに少女には警戒されているが、ナイトメア不在で心細い時くらい無下にはされないだろう。
グレイの心を読んだナイトメアは、相変わらずの表情だ。
「確かに人見知りする娘だが、使用人の中にもお前より親しい人間は何人かいるんだぞ」
いい傾向だ。―――そう笑うナイトメアの真意が図りきれない。
グレイの戸惑いに独眼が見据える。
「私以外に深く付き合える人間ができる事は良い傾向だろう」
言葉だけを聞けば、至極まっとうな事なのだろうけど―――なんだろう。ナイトメアのこの曖昧な笑みは。
「・・・嫌な夢を見る、と言っていました」
「そうか。しかし、アレは私にどうにかできる代物ではないからな」
「《夢魔》であるナイトメア様に対処できない夢が?」
グレイが目を丸くして、ナイトメアを見返す。
「ああ、あるさ。でも―――」
今はよく眠っているようだ。―――そう呟いてナイトメアが少女を抱き上げた。
「おい、ウサギとカップを持ってこい」
「あ、はい」
腕の中の少女を愛しそうに見つめていたナイトメアが、ふいにグレイに指示を出す。
慌てて書類と少女の荷物を抱えると、グレイは資料室の扉を開いた。
「・・・・・・・・・」
「どうした?」
「部屋・・・きちんとあったんですね」
中庭の温室ではなく、ナイトメアの寝室の近くに。
「当たり前だろう」
背後から聞こえた声に嘆息すると、グレイは少女の光色の髪から手をひいた。
「人聞きの悪いことを言わないで下さい」
眉を寄せて振り返れば、案の定そこに立っていたのはクローバーの塔の領主。
久方振りにまみえた上司は相変わらずの顔色の悪さだが、機嫌だけは良いようだった。
彼の妹は心細い思いをしていたのに、いい気なものだ。
「それにしても意外だったな」
「なにがですか?」
不満で返すグレイの心中を無視してニヤニヤと笑うナイトメアに、さらに不満が高まる。
「この娘の事だよ」
ナイトメアはソファで眠る少女の金の髪をさらりと撫で、その額に軽いキスを落とす。拒まれない自信があるからできる行動だ。
「うらやましいだろう」
「・・・そんな事より何が意外なんですか?」
「まさかお前のところへ行くとは思わなかった」
「どういう意味ですか?」
確かに少女には警戒されているが、ナイトメア不在で心細い時くらい無下にはされないだろう。
グレイの心を読んだナイトメアは、相変わらずの表情だ。
「確かに人見知りする娘だが、使用人の中にもお前より親しい人間は何人かいるんだぞ」
いい傾向だ。―――そう笑うナイトメアの真意が図りきれない。
グレイの戸惑いに独眼が見据える。
「私以外に深く付き合える人間ができる事は良い傾向だろう」
言葉だけを聞けば、至極まっとうな事なのだろうけど―――なんだろう。ナイトメアのこの曖昧な笑みは。
「・・・嫌な夢を見る、と言っていました」
「そうか。しかし、アレは私にどうにかできる代物ではないからな」
「《夢魔》であるナイトメア様に対処できない夢が?」
グレイが目を丸くして、ナイトメアを見返す。
「ああ、あるさ。でも―――」
今はよく眠っているようだ。―――そう呟いてナイトメアが少女を抱き上げた。
「おい、ウサギとカップを持ってこい」
「あ、はい」
腕の中の少女を愛しそうに見つめていたナイトメアが、ふいにグレイに指示を出す。
慌てて書類と少女の荷物を抱えると、グレイは資料室の扉を開いた。
「・・・・・・・・・」
「どうした?」
「部屋・・・きちんとあったんですね」
中庭の温室ではなく、ナイトメアの寝室の近くに。
「当たり前だろう」
PR