忍者ブログ

アリスのお茶会

更新状況と雑記。そして優雅とは言えない日常の数々。

2025/03    02« 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31  »04
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

クロアリ/グレイ夢 「眠れぬ夜の寝物語」の後日談です。
続きからご覧下さいませ。


「寝込みを襲うなど、最低男のする事だぞ」

 背後から聞こえた声に嘆息すると、グレイは少女の光色の髪から手をひいた。

「人聞きの悪いことを言わないで下さい」

 眉を寄せて振り返れば、案の定そこに立っていたのはクローバーの塔の領主。
 久方振りにまみえた上司は相変わらずの顔色の悪さだが、機嫌だけは良いようだった。
 彼の妹は心細い思いをしていたのに、いい気なものだ。

「それにしても意外だったな」
「なにがですか?」

 不満で返すグレイの心中を無視してニヤニヤと笑うナイトメアに、さらに不満が高まる。

「この娘の事だよ」

 ナイトメアはソファで眠る少女の金の髪をさらりと撫で、その額に軽いキスを落とす。拒まれない自信があるからできる行動だ。

「うらやましいだろう」
「・・・そんな事より何が意外なんですか?」
「まさかお前のところへ行くとは思わなかった」
「どういう意味ですか?」

 確かに少女には警戒されているが、ナイトメア不在で心細い時くらい無下にはされないだろう。
 グレイの心を読んだナイトメアは、相変わらずの表情だ。

「確かに人見知りする娘だが、使用人の中にもお前より親しい人間は何人かいるんだぞ」

 いい傾向だ。―――そう笑うナイトメアの真意が図りきれない。
 グレイの戸惑いに独眼が見据える。

「私以外に深く付き合える人間ができる事は良い傾向だろう」

 言葉だけを聞けば、至極まっとうな事なのだろうけど―――なんだろう。ナイトメアのこの曖昧な笑みは。

「・・・嫌な夢を見る、と言っていました」
「そうか。しかし、アレは私にどうにかできる代物ではないからな」
「《夢魔》であるナイトメア様に対処できない夢が?」

 グレイが目を丸くして、ナイトメアを見返す。

「ああ、あるさ。でも―――」

 今はよく眠っているようだ。―――そう呟いてナイトメアが少女を抱き上げた。

「おい、ウサギとカップを持ってこい」
「あ、はい」

 腕の中の少女を愛しそうに見つめていたナイトメアが、ふいにグレイに指示を出す。
 慌てて書類と少女の荷物を抱えると、グレイは資料室の扉を開いた。





「・・・・・・・・・」
「どうした?」
「部屋・・・きちんとあったんですね」

 中庭の温室ではなく、ナイトメアの寝室の近くに。

「当たり前だろう」
PR

カレンダー

02 2025/03 04
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31

真世的







ブログ内検索

バーコード

<< Back  | HOME Next >>
Copyright ©  -- アリスのお茶会 --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by もずねこ / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]